今回は木工事~内外装工事
こんにちは、北島産業です。
集う人々が「また来たい!」と思う家、前回(1回目)は既存建物の解体工事から基礎工事までをご紹介しました。
今回(2回目)は木工事から内外装工事までを紹介します。
※1回目(解体工事~基礎工事):http://gotou-yoshikugi.madoshop.jp/shop/jirei/detail/?id=53107
プレカット工場が対応できない木工事①
最近の新築木造工事では、「プレカット」と呼ばれる工法が一般的になっています。
プレカットとは、柱や梁など木軸の加工を工場で行う工法です。昨今大工さんをはじめとした職人さん不足が顕著になってきており、職人不足を補うとともに、従来大工さんが手で加工していたものから比べて工期短縮を図れるということで、2000年代以降主流になってきた工法です。
今回は、特殊な設計ということで、一部の材料が工場でプレカットできないことが判明。とはいえ、大工さんに加工寸法全てを計算してもらうのも膨大な時間が必要。。。
折衷案として、手加工の部分はプレカット工場でガイド図を作成してもらい、大工さんに工場で手加工をしてもらうことになりました。
プレカット工場が対応できない木工事②
自社の工場で手加工した材料を現場に搬入し、棟上げへと進みました。
とはいっても、柱を建て始めてから上棟式まで通常1日で終わる工事も、特殊な設計により今回はじわりじわりと進めるため、柱を建て始めてから1週間弱かかり上棟式となりました(途中雨も挟み、間柱建てたり、屋根パネル載せたりなどしつつ、大安を選んでいたら…)。
上棟式では、祝詞を読み上げ、工事完成・携わる職人さんの無病息災を願って、厳かにとり行われました。
こだわりの屋根工事
木工事の建て方が終わると、構造部が極力濡れないようにまずは屋根をかぶせました。
屋根の材料はガルバリウム鋼板。昔ながらの瓦屋根も風情があってよいところがありつつも、ガルバリウム鋼板の利点は、軽量という点です。
建物の一番上に軽量の材料が載ることで、構造部への負担が減少し、耐震性が向上します。
今回は、ガルバリム鋼板を使用する中でも、立平葺きという工法で行いました。その背景には、①立平葺きのハゼ(立上り)を300mm間隔に取ることにより引き締まった印象を与えつつ、②600mm間隔にある登り梁の上にハゼを配置することにより均整がとれた造形にしたいという設計上の意図がありました。
こだわりの外装工事
外装材は、金属サイディングと杉板の2種類を使用しました。
金属サイディングの上部(各梁間)に、梁と同じ杉材の板を使用することで、意匠の一体性を保たせる意図がありました。
その一方、家主さんと設計士との打合せを進める中で、大きく意見が分かれたのは外装材(杉板の下)の製品でした。
家主さんと設計士ともに、メンテナンスの容易さという観点から、ガルバリウム鋼板を使用する点は一致していたものの、施工性の良い既成の金属サイディングを使用するのか(家主要望)、板金屋さんによる手加工仕上げとするのか(設計士要望)という点で、意見が分かれました。
結果として、設計士が想定していた意匠に近い既成の金属サイディング(※)を使用することで決着しました。
通常金属サイディングを使用する場合、メーカが役物(入隅や窓回り見切り材、水切り材、サイディング間のつなぎ材など)を設定しています。
しかし、既成の金属サイディングを使用する代わりに、入隅や窓回りに使用する見切り材、金属サイディングと杉板との間に使用する見切り材などを設計士が考案し、板金屋さんが製作することにより、建物全体の意匠性確保に努めました。
※使用した金属サイディング:アイジー工業製 SFビレクト
内装工事①(天井編)
最初の家主さんと設計士との打合せで、登り梁を連続して見せることは決まっていました。特に、梁成(高さ360mm)を連続して見せることは、今回の意匠で最も重要な点の1つでした。
そこで課題になったのが、照明などの電気配線と天井材の施工でした。
電気配線は、梁の一部に電気配線を通すための加工を施し、屋根下地材と梁の間にすき間を作り、電気配線が行えるように工夫していきました。
また、天井は家主さんの意向を反映しシナベニアに決定しました。
施工においては、天井裏に配線している電線を釘などで傷つけないよう丁寧に施工を行いました。
内装工事②(床編)
今回の住宅では、弊社で初めて床暖房の施工を行いました。
床暖房は、断熱材と捨て合板張りを行ったのち床材を施工しつつ、敷き詰めていきました。
床材を止める釘は、床暖房のシートとシートの間にくるよう、丁寧に施工を行いました。
床材は、意匠的な観点、床暖房対応可能な観点、また抗菌の観点から光触媒加工を施している材料(※)を使用しました。
無垢材の肌触りは心地よいのですが、床暖房がある部分に施工してしまうと、床材が曲がってしまうという課題がありました。
今回の材料は、床暖房対応可能とするため、合板の上に2mmの挽板を施すことで、無垢材の感じを残している製品でした。
材料の特性上、見た目が悪くなるフシが残っていました。
そのため、材料を段ボールから一通り出したのち、材料確認後、フシが多く残っている材料は目立たない場所に施工するなど、工夫を行いました。
※床材:イクタ ビンテージフロアラスティック(ナラ)
https://ikuta.co.jp/airwash/
次回は仕上げ工事~電気・設備・外構工事までを紹介します。